
「モツレク」特別演奏会のチラシができました。
いつものように、須田デザイン事務所の須田さんが、素晴らしい図柄の背景を付けてくれて、おしゃれなチラシになりました。
このデザインに落ち着いた経緯をご紹介したいと思います。
今回はメインが「モツレク」とあって、常識的には、モーツァルトの肖像画や教会の建物の画像を背景に使うところですが、
少し違った発想のものにしたいと思っていました。
初めに思いついたのは、「空」をテーマにしよう、ということでした。
きっかけは、今回のオーケストラが「CIEL東京室内楽団」だからです。
CIELはフランス語で「空、天」。イタリア語では「cielo」、ラテン語では「caelum」で、
「レクイエム」でも「Pleni sunt caeli e terra gloria tua(主の栄光は天と地に満ちて)」と歌われています(caeliはcaelumの属格単数)。
魂が召される神の国は「天」にあります。
「新しい歌」の「鎮魂歌へのリクエスト」でも「あそこ 空の高みでは」と歌います。
「月」や「星」、「風」も空をイメージさせます。
「うた」が「かるがるとんでいく」のも空でしょう。
「一詩人の最後の歌」にある「魂の大きな国」「永遠の夏の方」も空の彼方にあるような気がします。
今回のプログラムはすべて、「空」に縁があります。
それで、ネットで「空」のテーマの無料画像を検索しました。
気に入ったのが、スマホの待ち受け画面用の画像で、紺色の空に白い雲が画面の半分以上を埋めているものでした。
まあ「空」の画像というより「雲」がメインというべきかもしれませんが、
雲がない空はただの真っ青一色になってしまいますから、空の画像に雲は必需品です。
さて、画像は気に入ったのですが、チラシの背景としては、大きな欠点がありました。
演奏会のタイトル、曲名、指揮者、出演団体名、開催日時、会場、‥、たくさんの文字が、背景に埋もれてしまうのです。
空の紺と雲の白のコントラストがきつすぎて、文字色を明るくしても暗くしても、とても読みにくいのです。
文字に輪郭をつけたり影や光彩を入れたり、背景画像に網をかけてコントラストを減らしたり、いろいろ苦心しましたが気に入らず、
結局、須田さんにまかせることにしました。
もう一点は、やはり「空」だけの画像では「演奏会の内容が彷彿とする‥」というわけにはいかないことでした。
やはり「モツレク」の演奏会であることが一目でわかる方がいい、と「モーツァルト」の肖像を入れてみたら、
彼が空の上から見下ろしているようになりました。
もちろん、有名な「天才少年アマデウス」のではなく晩年の落ち着いた方を選びましたが。
この段階でレイアウト案を須田デザインに送りました。上述の問題点をそのまま書いて、プロの手腕に期待する旨、付記しました。
数日して須田さんから三つの案が届きました。
原案の画像に文字の縁取りを深くして見やすくしたものと、雲の白さが抑えられた別の画像を使ったもの、
そしてもう一つ、初めて見る「大きな翼を持った天使に迎えられる女性像」の画像を使ったものでした。
背景には、今回こだわった大きな「空」が広がっていますが、紺色ではなく落ち着いたベージュ系の色で統一されています。
この三つ目の案に、両先生を含め、感想を求めた人のほとんどが「いいね!」と賛同してくれたので、即刻採用となりました。
ひとめでクラシックの宗教曲の演奏会であることが推測される図柄なので、モーツァルトの肖像には消えてもらいました。
それで「コール・クライス特別演奏会」の文字がひときわ大きくなりました。
さぞかし有名な彫刻(の写真)なのだろう、と須田さんに問い合わせたのですが、プロの印刷関係者向けの画像データから選んだので出典は不明とのことでした。
思い立ってGoogleで画像検索をかけてみたところ、確かにこの画像は世界中のサイトから出て来て、
いくつかの本の表紙(Amazonで買える!)にも使われていることが分かりました。
一つの本のタイトルは「Libro di conversazione con i tuoi angeli custodi (Italian Edition) あなたの守護天使との会話の本(イタリア語版)」とありましたから、
翼を持った天使はこの女性の守護天使なのですね。
しかしそれでも、この画像の出どころはついに分かりませんでした。
上述の本の表紙の画像を拡大するとCopyrighted Materialと記してあったのですが、
須田さんによれば、一旦チラシに使ったものを(私たちが)流用するのは構わない、ということなので、ホームページでもSNSでも大いに活用してください。
チラシのデザインが決まるまでの経緯の簡単なご紹介のつもりでしたが、思いがけずに長文になりました。
お許しください。
印刷担当 ヒゲタカ
2023.1.6
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