2024年8月25日(日)に「第3回中山先生を囲む会~感謝の気持ちを込めて~」(神奈川県立音楽堂)の演奏会でヘンデルの「メサイア」を聴いてきた。コール・クライスから松島さんと姉崎さんが出演するのと、指揮者の中山敦先生が、昔私が所属していた八幡製鉄合唱団の指揮者だった米倉美枝先生の愛弟子ということもあって、楽しみにして出かけた。結論を先に言うと、とても素晴らしい演奏会だった。関東での先生との共演はこの日が最後になるとのことで名残惜しいが、プログラムは合唱をやったことのある人には親しみのある曲で構成されていた。第1部・女声合唱「花に寄せて」(星野富雄作詞、新実徳英作曲)、第2部・男声合唱「月光とピエロ」(堀口大学作詞、清水修作曲)、第3部・混声合唱「Messaiah」(ヘンデル作曲)より抜粋、である。第1部はたんぽぽに始まりなずなで終わる、花への優しさに満ち溢れた曲で、合唱団も心を込めて歌っているのがよく分かった。第2部はピエロの悲哀を重厚なハーモニーで聴かせてくれた。私も練習したことがあるのでうんうんと頷きながら聴いた。休憩をはさんで第3部の「メサイア」は圧巻だった。クライスの「メサイア」はオケ伴での大規模な演奏会だったが、ピアノ1台の伴奏で48名の合唱団が演奏するメサイアは指揮者の宗教性と相まって崇高の極致にまで達していたと思う。数回の指揮者練習しかやっていないにもかかわらず、この指揮者と合唱団の一体性はいったいどこから来るのか?それは中山敦という87歳にして合唱への愛情溢れる指導者の、エネルギーに満ちた指導によるものだと断言してよい。曲半ばにある「ハレルヤ」は予想以上に素晴らしくてしばらく涙が止まらなかった。何という賛美の充満!そして最後の「アーメンコーラス」も神を讃える余韻に満ちた演奏だった。終わって嵐のような拍手に応える中山敦先生の姿は慈愛に満ちた宗教家のように見えた。
プログラムに中山先生の一文が掲載されていたので、転記したい。合唱団活動を長くやっている私には、特に4.に頷けるものがあります。
「長続きするコツ」 指揮者 中山敦
長く合唱に関わっているせいもあるのか、合唱団を長続きさせるのにコツはありますかと聞かれることがあります。私の答えは相手によって色々ですが、
1.まずは、精神と肉体の健康。予定されている場所に行き、時間通り練習を開始すること。また、家族が健康であることに感謝すること。この感謝が続くように努力すること。
2.メンバーとの出会いを疎かにしないこと。医者が「臓器」ではなく「人」を見るように、メンバーはひとりひとり人格があって、活動を続けるための部品ではない。人間に興味と関心をもつこと。
3.練習時間がメンバーにとって生きた時間に感じられるようにすること。「迷ったけど来て良かった」「次も」に耐えられるように、練習をマンネリ化せず、常に「言葉」を磨くこと。多くの人が集まり、考え方や価値判断の物差し自体に違いがあるところでは、「言葉」がほとんど唯一の意思疎通の手段であり、相手を確認する手段となる。
4.10年、20年を見越して、プログラミングに持続性を持たせ、その準備をしておくこと。
などです。そのうまくいった例のひとつが、1982年に結成された北九州・下関地区大学合唱連盟であり、1984年のそのOB・OG会の結成で、それが40年後の今日の演奏会となって結実したというわけです。この間の練習を通じて、「年を取るということは自分の青春を意識することだ」という言葉を地で行っている感じで、こちらも励まされるし、喜びを与えられているのです。 友よ、いざ!!!
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